プロペトと白色ワセリンの変更について

Health

今日はプロペトと白色ワセリンの変更可否について取り上げます。よくあるテーマだとは思いますが、自分の知識の整理もためにもあえてこのテーマで書きたいと思います。

結論から書いてしまうと、プロペトできた処方箋を白色ワセリンに変更することはできません。

逆もしかりで、白色ワセリンできた処方箋をプロペトへ変更することもできません。

どちらに変更するにしても、Dr.へ疑義紹介が必要であると言えます。

なぜ、プロペトを白色ワセリンに変更することができないのか??

それは、白色ワセリンがプロペトの後発医薬品に該当しないから…。

同じ成分なのに後発品に該当しないってどういうこと?

プロペトを含む白色ワセリンは基礎的医薬品に含まれます。

基礎的医薬品とは何なんでしょうか?下記はJGA(日本ジェネリック製薬協会)からの引用です。

基礎的医薬品は、平成28年度薬価制度改革から試行的に導入された制度で、保険医療上の必要性が高く、医療現場において長期間にわたり広く使用されて有効性・安全性が確立されている医薬品であって、継続的な市場への安定供給を確保する必要があることから薬価上の措置が行われた医薬品群です。

要するに、医薬品の薬価が安くなりすぎると、製薬会社が採算が取れなくなり、その医薬品の製造をやめてしまいます。基礎的医薬品への指定は、製薬企業が医薬品の製造やめてしまうのを防ぐための仕組みという解釈でよいと思います。

白色ワセリンやプロペトは臨床上、その必要性が高いため基礎的医薬品に指定されているというわけです。

そして、基礎的医薬品の変更についてはあるルールがあります。

基礎的医薬品であつて、それらが基礎的医薬品に指定される以前に変更調剤が認められていたもの(「診療報酬における加算等の算定対象となる後発医薬品」等)については、従来と同様に変更調剤を行うことができる。

なお、その際にも「処方箋に記載された医薬品の後発品への変更について」(平成24年3月5日付保医発0305第12号)に引き続き留意すること。

つまり、両剤ともに基礎的医薬品ですが、基礎的医薬品に指定される前に変更調剤が認められていれば、変更が可能ということですね。

ちなみに、変更調剤が可能かどうかは下記のサイトで調べることができます。

メディカルサーブ株式会社HPより→こちら

日本薬局方収載医薬品とは

ところが、ここでまた別の問題が関与します。

セクションのタイトルに書いてある通りですが、日本薬局方収載医薬品かどうかという問題です。

これが、意外に大きな問題なんです。

日本薬局方収載医薬品とは何なのか?下記はJGA(日本ジェネリック製薬協会)からの引用です。

局方品(日本薬局方収載医薬品)とは、日本薬局方に収載されている医薬品を指します。日本薬局方は、本邦における医薬品の品質を適正に確保するために必要な規格・基準及び標準的試験法等を示す公的な規範書であり、明治19年に日本薬局方第1局(JP1)が公示されました。

その後JP9からは5年ごとに全面改正が行われ、学問水準の進歩に対応するためにJP11からは1度の追補改正が、JP12からは2度の追補改正が行われています。

保健医療上重要な医薬品、すなわち有効性及び安全性に優れ、医療上の必要性が高く、国内外で広く使用されているものが対象となります。

日本薬局方収載医薬品だと何がまずいのか。

それは…

先発品と後発品という概念がないということです。

漢方薬と同じような感じですね。先発と後発品という概念がないため変更することができません。ツムラの漢方をクラシエの漢方に変更することはできませんよね?

日本薬局方に収載される医薬品も同じく、漢方薬は先発・後発品という概念がないため、変更する際にはDr.へ疑義紹介が必要となります。

イメージとして、漢方と日本薬局方収載医薬品は、全部先発品と思っていただいた方が理解しやすいかもしれません。

先発品と後発品の区別がないものとして、下記のような医薬品があります。

「統一名収載されている日本薬局方収載医薬品」、「漢方エキス剤」、「生薬」、「生物製剤(ワクチン、血液製剤等)」及び、「承認が昭和42年9月以降のもの」であり、先発・後発という概念が存在しないことから、先発医薬品と同様に、変更調剤の範囲外と解釈されています。

局方収載品で、よくある問い合わせが必要な例。プレドニン錠について示します。

プレドニン錠5mg        1錠
1回1錠 朝食後         14日分

プレドニゾロン錠5mg「旭化成」  1錠
1回1錠 朝食後         14日分

上の2つのパターンはどちらも、記載通りに調剤しないといけないパターンです。プレドニン錠は局方収載品で先発・後発の区別がありません。そして、プレドニゾロン錠5mg「旭化成」も後発品扱いではありません。後発品が存在しないパターンです。

そのため、プレドニゾロン錠は、処方箋に記載されたと通りに調剤する必要があります。

黄色ワセリン、白色ワセリン、プロペト、サンホワイト

最後に、黄色ワセリンと白色ワセリンとサンホワイトの違いについて書いて終わりたいと思います。

ワセリンは知っての通りですが、油脂性基剤で臨床上では保湿剤としてよく使用されています。ワセリンは石油から得た炭化水素類の混合物を脱色して精製したものです。

黄色ワセリン、白色ワセリン、プロぺト、サンホワイト、いずれも炭化水素を主成分とするものですが、純度が右に行くにつれて高くなります。

黄色ワセリン→白色ワセリン→プロペト→サンホワイト(右に行くにつれて高純度)

白色ワセリン以降は眼軟膏の基剤といて用いられることがあるようです。

サンホワイトはワセリンの中では一番純度が高く、肌に優しく、目の周りに使用しても問題はありません。

白色ワセリン、プロペトも目の周りに使用しても問題が起こることは、ほとんどないと思います。ただ、肌の弱い人や赤ちゃん・小児の方には、サンホワイトを使うことをお勧めします。

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