便秘改善薬【酸化マグネシウムとは】

便秘薬について

今回は便秘シリーズとして酸化マグネシウムを取り上げます。酸化マグネシウムは下剤のなかでは塩類性下剤という分類に分けられます。また、酸化マグネシウムは便が硬くて出にくい人に向いているとされています。便秘で悩まれている方の参考になれば幸いです。気になる方はぜひ最後まで読んでみてください。

便秘とは

まずはじめに、便秘について詳しく知りたいという方は下記の記事を読んでみてください。便秘の定義や便秘の種類、薬剤の種類、生活習慣や食事で気を付ける点について書いてあります。

便秘になる原因とは

酸化マグネシウムの働き・どのような便秘のタイプに有効なのか

酸化マグネシウムは腸管内で重炭酸塩となり、腸内の浸透圧を高めて腸内の浸透圧を高めて腸内腔へ水分を引き寄せ、腸内容を軟化させるとともに、腸管内容物が膨張し、腸管に拡張刺激を与え、排便を促します。

つまり、どういうことかというと酸化マグネシウムは胃酸など反応して、腸管内で吸収されにくい重炭酸マグネシウムになります。重炭酸マグネシウムは浸透圧を高めることにより、腸管内に水分を引き込みます(浸透圧についてはこのあと説明します)。

腸管内に引き込んだ水分は便に吸収され、便自体が柔らかくなり、さらに水分を吸収することで容積が大きくなります。大きくなった便は腸管壁を刺激して、腸のぜんどう運動を促進して排便を促します。

酸化マグネシウムは一般的に、便が硬くて出にくい方に向ている便秘薬になります。また、一般的には酸化マグネシウムのような塩類性下剤はクセになりくいと言われています。

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浸透圧とは

酸化マグネシウムの排便作用は浸透圧の差を利用したものです。浸透圧について下記に示します。

半透膜、すなわち溶媒(小さな分子)だけを透す膜で隔てられた2室に溶媒・溶質が同じで濃度の異なる2つの溶液があると、濃度の低い(溶質分子の密度が相対的に低い)溶液から濃度の高い(溶質分子の密度が相対的に高い)溶液に移動する溶媒分子の数は逆向きのものより多くなる。これは、低濃度溶液中の溶媒分子の方が、高濃度溶液中の溶媒分子よりも、溶媒自身の密度が高く、拡散の原理に従って、溶媒分子が[高]→[低]へと移動することによっている。結果として、溶媒は溶質濃度の高い溶液の方へ移動し、平衡状態に達するまで続く(Wikipediaより)。

つまり、体内でもこれと同じ現象が起こっているということです。何度も書きますが、腸管内に多量の重質炭酸マグネシウムが存在することにより、体内の水分が腸管内に引き出され、腸管内が水分で満たされます。水分は硬い便を柔らかくし、さらに、便の容積を大きくすることで大腸を刺激して排便を促します。

酸化マグネシウムの安全性は

酸化マグネシウムの安全性はどのなのでしょうか?

酸化マグネシウムは安全性が高いお薬だと思います。しかし、もちろん注意する必要のある方もいます。下記に注意が必要な方を記載します。これらの方はご自身では判断せずに、医師・薬剤師・登録販売者に相談してから購入するようにしてください。

  • 透析されている方や、腎臓の機能が低下している方。酸化マグネシウムの体外排泄が低下して高マグネシウム血症を引き起こすことがある
  • 心機能に障害のある方。徐脈を引き起こし症状が悪化することがある
  • 下痢の人。さらに、下痢がひどくなることがある
  • 高マグネシウム血症の患者。症状がさらにひどくなることがある
  • 高齢者への投与。高齢者では加齢とともに腎機能が低下して、高マグネシウム血症が起きやすいので、長期投与などには注意する

特に上記のような人でなければ、よほど心配する必要はないかと思います。

他のくすりと一緒に飲んでも大丈夫?

どちらかと言えば、酸化マグネシウムは他のお薬との相互作用を気にしてほしいですね。酸化マグネシウムは金属元素であり、ほかのお薬の成分が酸化マグネシウムと結合してしまうことで、お薬の作用が弱まることがあります。

今回は代表的なお薬をいくつか紹介します。

  • 抗菌薬(テトラサイクリン系、ニューキノロン系等)→キレート形成により抗菌薬の吸収が阻害される
  • セフジニル、ミコフェノール酸モフェチル、ペニシラミン等→機序不明。これらの薬剤の吸収が低下することがある
  • 骨粗鬆症治療薬(ビスホスホネート系)→キレート形成によりビスホスホネート製剤の吸収が阻害される
  • アジスロマイシン、セレコキシブ、ロスバスタチン、ラベプラゾール、ガバペンチン→機序不明。これらの薬剤の血中濃度が低下することがある
  • フェキソフェナジン→酸化マグネシウムが薬の吸収・排泄に影響することがある

これらの薬を併用するときは酸化マグネシウムと同時に服用しないことが大切です。2~3時間ほど服用タイミングをずらすことで、これらの相互作用は回避できるでしょう。

市販でも購入できる!

健栄製薬 酸化マグネシウムE便秘薬

酸化マグネシウムはドラッグストアやインターネットなどで購入することができます。その中でも私がおすすめするのが健栄製薬さんが製造する「酸化マグネシウムE便秘薬」です。

健栄製薬さんは、酸化マグネシウム錠250mg「ケンエー」や酸化マグネシウム330mg「ケンエー」などの規格で、医療用医薬品の酸化マグネシウムも製造している製薬会社です。

酸化マグネシウムE便秘薬の価格について下記に示します。健栄製薬さんの公式HPからの抜粋です。

錠数希望小売価格(税抜き)
40錠680円
90錠1,200円
180錠2,200円
360錠4,000円

 酸化マグネシウムE便秘薬の用法

酸化マグネシウムE便秘薬の用法について記載しておきます。用法は下記のようになっております。成分量としては6錠中に2000mg配合という情報になっております。

年齢1回量1日服用回数
大人(15歳以上)3~6錠1回
11歳以上15歳未満2~4錠1回
7歳以上11歳未満2~3錠1回
5歳以上7歳未満1~2錠1回
5歳未満服用しないこと
酸化マグネシウムE便秘薬 添付文書より

◆就寝前(又は空腹時)にコップ1~2杯の水又はぬるま湯で服用してください。多めの水で服用するとより効果的です。

◆ご自身の便通状態により錠数を調節することが可能です。

生活習慣で心がけること

  • 規則的な排便の習慣をつけることが大切で、毎日時間を決めて一定時間トイレに入るように心がけましょう。また、便意をもよおした時は我慢せずにトイレに行きましょう
  • 繊維質(1日18~20g/日が目標)の多い食物と水分を多くとるように心がけましょう(野菜、果物、こんにゃく、かんてん、海藻類など)
  • 早朝、起きがけに冷たい水、または牛乳等を飲むと便意をもよおしやすくなります。

参考:酸化マグネシウムE便秘薬添付文書

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