去痰薬として使用されるクリアナールとムコソルバンですが、この2つはどのような違いがあるのか?今回は添付文書から比較したいと思います。


この2つの薬剤ですが、薬効について区別できている方少ないのではないでしょうか?
クリアナールは一般名をフドステインと言います。添付文書には気道分泌細胞正常化剤と記載されてます。一方のムコソルバンは一般名をアンブロキソールと言います。添付文書には気道潤滑去痰剤と記載されています。
ムコソルバンは薬価収載されたのが2009年だそうですが、販売自体は1984年からされているみたいです。クリアナールは薬価収載・販売開始ともに2001年でクリアナールの方が新しい薬剤みたいですね。
それでは、下記の表に2つの違いをまとめます。
クリアナール(フドステイン) | ムコソルバン(アンブロキソール) | |
効能・効果 | 以下の疾患における去痰 気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、肺気腫、非定型抗酸菌症、びまん性汎細気管支炎 | 1.下記疾患の去痰 急性気管支炎、気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、手術後の喀痰喀出困難 2.慢性副鼻腔炎の排膿 |
薬効・薬理 | 1.痰(気道粘液)の主成分であるムチンを分泌する杯細胞の過形成抑制作用 2.粘液修復作用(フコース/シアル酸比修正) 3.漿液性気道分泌亢進作用 4.気道炎症抑制作用 | 1.気管・気管支に対する作用 1)肺表面活性物質の分泌促進作用 2)気道液の分泌促進作用 3)線毛運動亢進作用 2.副鼻腔に対する作用 1)病的副鼻腔分泌の正常化作用 2)線毛運動亢進作用 |
まとめ | 喀痰粘度を低下させ、気道分泌液を増やし痰の排出を促す。また、気道の炎症を抑える。 | 肺表面活性物質(肺サーファクタント)や気道液の分泌を促進させる。また、線毛運動亢進作用により喀痰排出を促す。 |
痰にはムチンというネバネバした成分が含まれています。ムチンは主にシアル酸やフコースなどの糖から構成されています。喀痰粘度はシアル酸/フコース比で決まり、フコースの割合が多いほど粘度が高いネバネバした痰になります。
肺サーファクタントは洗剤のイメージでよいかと思います。2型肺胞上皮細胞から分泌されるのが、肺サーファクタントで表面張力を低下させ肺胞が萎んでしまうのを防いでいます。
クリアナールもムコソルバンもよく使われる薬剤ではありますが、意外にクリアナールは授乳について中止させることとなっています。
以上、クリアナールとムコソルバンの違いについてでした。
参考文献:クリアナール、ムコソルバン添付文書