2021年花粉情報!おすすめのくすり12選!

鼻炎・鼻水薬について

今年も花粉の季節がやってきました。この記事では薬剤師である僕が、おすすめのくすりを紹介します。ドラッグストアで医薬品を購入することにより、病院や薬局での待ち時間が必要なくなったり、セルフメディケーション税制を受けることができます。もちろん、医療用医薬品と同じ成分のおくすりを手に入れることもできます。つまり、時間も短縮できて、家計の負担も減らすことができるわけです。

この記事で分かること…

  • 今年の花粉飛散予測
  • セルフメディケーション税制を活用して、家計の負担を減らす方法とは?
  • おすすめの医薬品とは?どれが花粉症に効くの?

この記事には医薬品に関する記載を含みます。15歳以下の方や妊婦・授乳婦の方。緑内障や前立腺肥大など疾病をお持ちの方は、ご自身で判断せずに医師、薬剤師、登録販売者に相談してから購入するようにしてください。医薬品の使用により眠気などを催すことがあるため、運転や危険な作業には十分に注意するようにしてください。

 

薬だけ知りたいよ!という方は目次から「おすすめの内服薬!」、「おすすめの点眼薬!」、「おすすめの点鼻薬!」のいずれかに進んでください。

2021年の花粉飛散予測

2021年の花粉飛散予測はどうなっているのでしょうか?日本気象協会では以下のように予測されております。

スギ花粉の飛散開始時期

2月上旬頃より、九州や四国、東海、関東の一部から花粉が飛散し始めるようです。飛散の開始は九州から関東では例年並みか早く、北陸や東北は例年並みとのことです。
※飛散開始日とは1平方センチメートルあたり1個以上のスギ花粉を2日連続して観測した最初の日

各地のピーク予測

スギ花粉飛散のピークは、福岡で2月下旬から3月上旬、高松・広島・名古屋では3月上旬から中旬
の予想。大阪は3月上旬、東京は3月上旬から下旬。ピークの時期は例年並みとなる所が多い見込み。金沢・仙台では例年並みの3月中旬から下旬にかけて飛散のピークとなるとのことです。

2021年シーズンの花粉飛散傾向(スギ+ヒノキ)

2021年の花粉飛散量(例年比)
2021年の花粉飛散量(前シーズン比)

2021年春の例年比での花粉飛散傾向予測は、九州から近畿、北陸、関東、東北の広い範囲で例年より少ない見込み。特に、九州は例年と比較して非常に少ない。東海と北海道は例年並みの予想です。

一方、前シーズン比(2020年春との比較)で見ると、九州から関東にかけて多く、四国や東海、北陸で非常に多くなる予想。これは前シーズンが例年より少なかったためであり、前シーズンに花粉症の症状が軽かった人も2021年春は注意が必要です。東北は前シーズン並み、北海道は前シーズンより少なくなるとのことです。

ここまでは日本気象協会(tenki.jp)のデータを引用してご紹介しました。

今年も花粉症の人にとってはつらい季節になりそうですね。次項からは年間の医療費をお得にする方法として、セルフメディケーション税制について説明します。

セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)とは、医療費控除の特例として、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、2017年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。

2016年以前は医療費控除を受けるためには、年間の医療費が10万円を超える必要がありました。

医療費控除とは

医療費控除は、納税者が自分または、自分の家族のために支払った医療費で、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象となります。医療費控除額は以下の式で表されます。

医療費控除額=実際に支払った医療費の合計額-(1)の金額-(2)の金額

(1)保険金などで補填される金額
→生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで給付される高額療養費・家族療養費・出産一時金など
 ※保険金などで補填される金額は、その給付目的となった医療費の金額を限度として差し引くので、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引かれない。

(2)10万円
 ※その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%未満
 例 年間所得が150万の人なら 150万×5%で7.5万円となる。

セルフメディケーション税制とは

セルフメディケーション税制の定義について説明していきます。まずは下記の画像をご覧ください。

要するに、自分または家族がドラッグストアなどで特定の医薬品を購入した時、その年の1月1日から12月31日までの購入費用が1万2千円を超えた場合は、最大8万8千円まで総所得金額から控除が受けれますよという制度です。

※注意点としては以下のことがあげられます。

  • 所得税、住民税を収めていること
  • 特定健康診査、予防接種、定期健康診断、がん検診など受けていること
  • 健康診断の結果や領収書は捨てないこと!
  • 購入する医薬品が、要指導用医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品であること(類似の医療用医薬品が医療保険給付の対象外のものを除く。)
  • 購入した際のレシートは捨てないこと!申告の際に必要となる!
  • 医療費控除とセルフメディケーション税制を同時に受けることはできない

1万2千円から超えた金額が、そのまま返ってくるという分けではないのでご注意ください。画像の「本特例処置を利用する時のイメージ」にもあるように、例えば所得税率が20%の人で控除額が8千円の場合では下記のようになります。

所得税:1,600円の減税効果(控除額8,000円×所得税率:20%=1,600円)
個人住民税:800円の減税効果(控除額8,000円×個人住民税率:10%=800円)

合計で2,400円の減税効果があるということです。

例えば、4人家族の場合、1人につき1,500円の対象医薬品を年間で3~4回購入したら、2万円は到達しているイメージです。

医療費控除とセルフメディケーション税制どちらがお得なの?

日本一般用医薬品連合会のHPで、医療費控除とセルフメディケーション税制による減税額を比較できるので試してみましょう!所得額および年間の医療費とセルフメディケーション税制対象医薬品の購入額を入れるだけなので簡単です!

比較してみる!

どの医薬品がセルフメディケーション税制の対象になるのか?

セルフメディケーション税制の対象になる医薬品については、下記のマークが付いているものになります。購入の際には参考にしてみてください。

セルフメディケーション税制 マーク

また、対象製品については厚生労働省のHPにPDFでまとめられていましたので、貼っておきます。→対象製品を確認する。

おすすめの花粉症の症状を抑えるくすり

この項からは、いよいよどの薬がおすすめなのか説明していきたいと思います。少し難しいことも記載しますので、結果だけ知りたい人は、難しいところは読み飛ばしてご覧ください。

現在認められているセルフメディケーション税制 対象成分

2021年1月現在、セルフメディケーション税制の対象になっている成分について記載していきたいと思います。今回は花粉症について取り上げているので、抗アレルギー成分だけを抽出していきます。下記の表がそちらになりますので、ご覧ください。

作用機序成分名
ケミカルメディエーター遊離抑制薬クロモグリク酸、トラニラスト、アシタザノラスト
第二世代抗ヒスタミン薬(鎮静性)アゼラスチン、ケトチフェン
第二世代抗ヒスタミン薬(非鎮静性)エバスチン、エピナスチン、セチリジン、フェキソフェナジン、
べポタスチン、メキタジン、ロラタジン
ステロイド性成分ベクロメタゾンプロピオン酸エステル、フルチカゾンプロピオン酸エステル、フルニソリド、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、プレドニゾロン吉草酸エステル、トリアムシノロンアセトニド、
上記の表では内服、点鼻、点眼の剤型を問わず、成分のみに着目し記載いたしました。また、クロモグリク酸+プラノプロフェンやトラニラスト+プラノプロフェンなど配合剤になっているものもありもしたが、その場合は抗アレルギー成分だけを記載しております。

おすすめの内服薬!

体の中で起こるアレルギー反応を抑えて、くしゃみや鼻水、かゆみなどの症状を緩和してくれます。ただ、これらの成分が脳内に移行してしまうと、眠気を生じてしまうことがあるので注意が必要です。

以下では、効果の強さと眠気に着目して、おすすめのセルフメディケーション税制対象医薬品を紹介してみました。内服部門のおすすめの医薬品です。

 

「効果は弱くても眠くなりにくい方が良い」という方におすすめ!

成分名商品名服用回数価格コメント
ロラタジンクラリチンEX1日1回7錠入り:1,380円(税別)
14錠入り:1,980円
(税別)
効果はもっとも穏やかだが、もっとも眠くなりにくい。1日1回で長く効く。
フェキソフェナジンアレグラFX1日2回14錠入り:1,314円(税別)
28錠入り:1,886円(税別)
クラリチンより眠気あるが、クラリチンより効果あり。
エバスチンエバステルAL1日1回6錠入り:1,400円(税別)
12錠入り:2,000円(税別)
アレグラと効果は同等だが眠気は強い。ただ、1日1回で長く効く。
べポタスチンタリオンAR1日2回10錠入り:1,280円(税別)
30錠入り:2,400円(税別)
アレグラより眠気あるが、アレグラよりも効果あり。
エピナスチンアレジオン201日1回6錠入り:1,380円(税別)
12錠入り:1,980円(税別)
24錠入り:3,580円(税別)
タリオンよりも効果あるが、タリオンよりも眠気が出やすい。1日1回で長く効く。
セチリジンストナリニZ1日1回10錠入り:1,619円(税別)
14錠入り:1,886円(税別)
眠くなりにくい部門ではもっとも効果があるが、眠気がもっとも現れやすい。1日1回で長く効く。

「眠くなってもいいから効果が高い方がいい」という方におすすめ!

成分名商品名服用回数価格コメント
ケトチフェンアスミン鼻炎薬、レガーテ鼻炎薬1日2回公式HPに値段ないが、20錠でおよそ1,000円ぐらい第二世代抗ヒスタミン薬(非鎮静性)よりも抗アレルギー作用が高いが、眠気も強い。
アゼラスチンムヒAZ錠1日2回12錠入り:1,000円(税別)ケトチフェンよりも抗ロイコトリエン作用、ロイコトリエン産生抑制作用など抗アレルギー作用が多い!セルフメディケーション税制対象商品かつ内服薬の中では抗アレルギー作用がもっとも高い。

今回、内服部門で紹介させていただいた商品は一部です。1つの成分に対して複数の商品が存在することがあるので、気になった成分があればご自身で価格など一度比較してみてください。

参考:Neltoku小児科学 | 小児科医の視点で、医療のことから子育てのことまで発信するお役立ちサイト
薬効別服薬指導マニュアル 第9版

 

おすすめの点眼薬!

点眼部門で僕がおすすめする薬は、千寿製薬株式会社さんのマイティア アルピタットEXαとロート製薬株式会社さんのロート アルガードクリニカルショット、ロート アルガードクリアブロックZです!目のかゆみがひどい人は、内服と点眼を併用したほうがより効果的です!

商品名価格成分
マイティア アルピタットEXα(税抜き)1,800円クロモグリク酸1%、クロルフェニラミンマレイン酸塩0.03%、プラノプロフェン0.05%。コンドロイチン硫酸エステルナトリウム0.5%
アルガード クリニカルショット(税抜き)2,200円トラニラスト 0.5% 、クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.03% 、プラノプロフェン 0.05% 、タウリン 1.0%
アルガード クリアブロックZ
(アルガードクリアマイルドZ)
(税抜き)1,800円クロモグリク酸ナトリウム 1% 、クロルフェニラミンマレイン酸塩 0.03% 、プラノプロフェン 0.05% 、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム 0.5%

おすすめしたポイントとしては、クロモグリク酸+クロルフェニラミン、トラニラスト+クロルフェニラミンの様に抗アレルギー成分を複数含むこと、さらに抗炎症成分であるプラノプロフェンを配合している点です。

クロモグリク酸やトラニラストの様なケミカルメディエーター遊離抑制薬は効果が出るまでに時間がかかるので、遅くても1か月ぐらい前からは使用するのがよいでしょう。

おすすめの点鼻薬!

点鼻部門で僕がおすすめする点鼻薬は、ステロイド性の点鼻薬です。特におすすめなのが、グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社さんから出されているフルナーゼ点鼻薬<季節性アレルギー様>です。鼻水がひどい人は内服と点鼻を併用すると効果的です!

こちらはフルチカゾンプロピオン酸エステルを主成分とした点鼻のお薬です。現在、点鼻かつステロイドにおけるセルフメディケーション税制対象成分には、ベクロメタゾンプロピオン酸エステルとフルチカゾンプロピオン酸エステル、フルニソリドの3成分があります。

フルチカゾンプロピオン酸エステルとベクロメタゾンプロピオン酸エステル成分を比較した場合、カラゲニン足浮腫抑制作用(炎症をどれくらい抑えるかを調べる試験)、アレルギー性鼻炎抑制試験、血管収縮作用、抗アレルギー作用、いずれの試験・効果を調べる実験においてもフルチカゾンプロピオン酸エステルの方がベクロメタゾンプロピオン酸エステルよりも高い効果を示しました。抗アレルギー作用も点眼部門で紹介したクロモグリク酸という成分よりも高い効果を示していました(参照データに関してはこちらをご覧ください)。

要するに、フルチカゾンプロピオン酸エステルの方がアレルギーを抑えたり、アレルギー性鼻炎の症状を抑えることができるということです!

そして、フルチカゾンプロピオン酸エステルを主成分とした、セルフメディケーション税制対象の医薬品がフルナーゼ点鼻薬<季節性アレルギー様>です。価格は1,580円とのことです。

補足として、急性期の鼻炎を抑えるにはナファゾリンやテトラヒドロゾリンを主成分とした、血管収縮薬を使用するほうが効果的です。しかし、このような血管収縮薬を継続的(2週間程度)に使用すると、効果が弱くなったり、薬剤性鼻炎(肥厚性鼻炎)を起こすことがあります。数か月単位で継続的に使用する場合はステロイド性の点鼻薬を使用するほうがいいでしょう。また、ナファゾリンやテトラヒドロゾリンは令和2年7月の段階ではセルフメディケーション税制対象外の成分です。

 

フルニソリドについてはデータがなく比較することができませんでした。構造活性相関などから比較してみようと自分なりに考えてはみましたが、勉強不足で分かりませんした。申し訳ありません・・・。そのため、今回はおすすめからは除外させていただきました。

フルニソリドは1983年に医療用医薬品の「シナクリン点鼻液」として承認されましたが、2005年9月販売中止になりました。再び、2018年にOTC医薬品として、ロート製薬からロートアルガードクリアノーズとして販売されています。価格は1,800円。

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